40代、まだ上がる。ギアも、エンジンも。

WORK(仕事と現場)

ブログを始める理由を、ずっと言葉にできなかった

出張先のホテルで、23時過ぎにようやく一日が終わる。ネクタイを外して、冷蔵庫の缶ビールを開ける。そんな夜が、この十数年で何度あっただろう。

広告・イベントの世界に飛び込んで18年。現場の段取りが崩れ、夜中に代替案を組み、朝には何食わぬ顔で本番を迎える。そういう経験を積むうちに、気づけば執行役員という肩書きがついていた。

不思議なもので、仕事は今がいちばん面白い。責任が重くなった分、見える景色が変わったからだと思う。

ただ、ふと考えた。この面白さと、休日にショベルヘッドのエンジンを温めている時間の面白さは、実は同じ根っこから来ているんじゃないか。そして僕は、その二つを同じ熱量で語れる場所を、どこにも持っていなかった。

なぜ今さらブログなのか

正直に言えば、ブログなんて今どき流行らない。発信するなら動画やSNSのほうが早いのも分かっている。

それでもあえて文章で残すのは、40代の「中身」は短い言葉に収まらないからだ。

仕事の判断には、数字に出ない迷いがある。バイクをいじる時間には、効率とは真逆の豊かさがある。旨い酒の一杯にも、そこに至るまでの物語がある。そういうものは、タイムラインを流れていく数秒の投稿ではなく、じっくり読んでもらえる長さがあって初めて伝わる気がしている。

それに、書くことは僕自身の棚卸しにもなる。走りながら考えてきた18年を、一度ちゃんと言葉にしておきたい。

「働く」と「遊ぶ」は、トレードオフじゃない

40代になると、周りでよく聞く言葉がある。「もう仕事で手一杯で、趣味どころじゃないよ」。

気持ちは痛いほど分かる。でも僕の実感は逆だ。

仕事にギアを上げている人ほど、遊びにも本気になれる。そして遊びで本気になった経験が、また仕事の判断力や粘り強さを支えてくれる。

1978年式のハーレーは、その象徴みたいな存在だ。古い機械は、思い通りには動いてくれない。機嫌を読み、手をかけ、時には待つ。これは現場で人を動かす仕事と、驚くほど似ている。完璧にコントロールしようとするより、状況を受け入れながら最善を尽くすほうがうまくいく。バイクに教わったことは、思いのほか多い。

洋服も同じだ。流行を追うのではなく、自分に似合う一着を長く着る。旨い酒も、量より一杯の質。年齢を重ねて分かってきた「選ぶ目」は、仕事にも遊びにも共通して効いてくる。

同世代と、これから来る世代に残したいもの

この場所で書いていきたいのは、成功談でも、偉そうな説教でもない。

同世代には、「そうなんだよ、分かる」と笑ってもらえる共感を。仕事に追われる毎日でも、ちゃんと遊んでいいんだという、小さな許可証のようなものを渡せたらうれしい。

若い世代には、40代の現実をそのまま見てほしい。失敗もするし、迷いもする。それでも面白がって生きている大人がいる。そう思ってもらえたら、この先の道のりも少しだけ明るく見えるんじゃないか。

連載のテーマは大きく五つの棚に分けて並べていく。仕事の流儀(WORK)、ハーレーのガレージ話(GARAGE)、服や道具へのこだわり(STYLE & GEAR)、出張先や旅で出会った土地と味(LOCAL & TRIP)、映画やカルチャー(CULTURE)。どれも僕の日常そのものだ。

結び:さらに働き、また遊び始める

『RE:PLAY40』という名前には、二つの意味を込めた。

一つは、もう一度再生ボタンを押すという意味。もう一つは、これまでの人生を振り返って「再生」し、ログとして残すという意味だ。

40代は終わりの始まりじゃない。むしろ、使える時間と経験と少しの余裕が揃った、いちばん面白い季節だと思っている。

さあ、第1回はここまで。次回からは、現場の話もガレージの話も、遠慮なく書いていく。気楽に付き合ってもらえたらうれしい。


今回の一品:LAMY サファリ(万年筆)

ブログを始めるにあたって、僕がもう一つ決めたことがある。ネタの種は、スマホではなく紙に書き留めること。

そこでおすすめしたいのが、LAMY サファリだ。ドイツ生まれの軽快なデザインで、価格は万年筆の入り口として手が出しやすい。ペン先のなめらかさが、書くという行為そのものを少し特別にしてくれる。

打ち合わせのメモでも、移動中の思いつきでも、出張先のホテルの夜でもいい。インクの乗る感触を味わいながら一行書くだけで、一日が自分のものに戻ってくる気がする。40代の自分への、ささやかなご褒美にもちょうどいい。

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