20代の頃、通っていたアクセサリー屋の店長が、ハーレーに乗っていた。
一度、またがらせてもらったことがある。ほんの数分のことだ。それなのに、あの重さと、足元に伝わる存在感は、今でも身体のどこかに残っている。いつか絶対に乗る。そう思ったまま、気づけば時間だけが過ぎていった。
僕のバイク人生が始まったのは、40歳のときだ。
憧れから、免許まで20年かかった
遅い、と言われればその通り。
忙しさを言い訳にしていたつもりはないが、仕事に没頭しているうちに、いつの間にか40代になっていた。そこで、思い切って教習所に通うことにした。中型免許から大型免許まで、一気に。
ずっと「いつか」だったものが、ようやく「今」になった。免許を手にした日のことは、細かく覚えていない。ただ、肩の荷が少し降りたような感覚だけは、はっきりしている。
1台目は、ヴィンテージルックの最新バイク
最初に選んだのは、thunder250だった。
見た目はヴィンテージの雰囲気をまとっているが、中身には最新の技術が盛り込まれている。バイクに慣れていない身には、これ以上ないほど心強い相棒だった。とてもいいバイクで、これは今でも変わらない。
それでも、ハーレーの夢だけは、どうしても捨てきれなかった。

縁があって、1978年式のFLH1200と出会う
転機は、thunderの総代理店をされているビルダーさんとの縁だった。
そこから、1978年式のFLH1200を譲ってもらうことになる。ただし、ここからが長い。ほぼ素の状態の車両を、一からビルドしていく。制作期間は、1年。納車の前には、チョッパーショーにも出展させてもらった。
自分のバイクが、納車を待つ間に人前に並ぶ。なかなかできない経験だったと思う。仕事ではイベントを作る側にいるので、会場に並ぶ自分の車両を眺めるのは、不思議な気分だった。

「いろんなことが起こるよ」と言われて
ビルダーさんからは、はっきり言われていた。
ヴィンテージのバイクは、thunderとは違う。いろんなことが起こる、と。
百も承知だった。好きなものに妥協はしたくない。そのうえで、リスクのあるバイクを選んだ。壊れることは、最初から折り込み済みだ。
僕の気持ちは、シンプルだと思う。トラブルも、思い出にして楽しむ。壊れたからといって、楽しむことを諦めない。
これは、仕事にも通じることだ。きついことと楽しいことは、紙一重。壊れる前提で受け止められるかどうかで、同じ出来事が、ただの災難にも、あとで語れる話にもなる。
納車から2カ月足らずで、レッカーが2回
その覚悟は、すぐに試された。
納車から2カ月足らずで、すでにレッカーを手配したことが2回ある。実際に来てもらったのは1回だけで、もう1回は手配中にバイクが勝手に復活した。詳しくは、別の記事で書こうと思う。
ただ、ひとつだけ言えるのは、そのたびに「やっぱり乗るのをやめよう」とは思っていないということだ。思い通りにいかない時間も、含めて、このバイクだと思っている。
所有するより、乗る
バイクは、持っているだけで満たされる人もいる。それも、ひとつの楽しみ方だと思う。
でも、僕にとって一番は、乗ることだ。走って、止まって、また走る。そのためには、トラブルとうまく付き合っていくしかない。
40歳で始まったバイク人生。遅いスタートだったかもしれないが、おかげで、仕事も遊びも、腹をくくって選べる年齢になっていた。

次は、どこへ走りに行こうか。


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