昨夜は、割烹で会食だった。
顔ぶれは、うちの代表と、人事の部長、制作の部長、そして僕の4人。落ち着いた和食の席だったが、話の中心はずっと、これからの人材採用と人材育成のことだった。
会社の未来を考えるとき、結局いつもここに戻ってくる。人のことだ。
人への投資だけは、手を抜かない
うちの会社は、採用の手法を選ばない。新卒採用もするし、中途採用もする。高卒採用もあれば、アルバイト採用もある。
その背景にあるのは、代表の理念だ。人に投資することは、何よりも優先する。だから、どんな状況であっても採用には手を抜かない。
経営に関わる立場になって、この考え方の重みがよくわかるようになった。業績が厳しいときほど、人への投資は後回しにされやすい。そこを譲らないというのは、口で言うほど簡単なことではない。
採用より難しいのは、その先
ただ、正直に言えば、悩みもある。採用した後の教育だ。
人を迎え入れることはできても、育てることにはかなり手を焼いている。進みも遅い。これはきっと、どこの会社でも同じだろう。
時代とともに、働き方や人の育て方の常識は変わっていく。その変化に合わせながら人を育てるのは、簡単なことではない。昨夜の席でも、そこに明快な答えが出たわけではなかった。
僕は、厳しい先輩を選んだ
話をしながら、自分が若手だった頃のことを思い出していた。
入社する前から、僕は早く一人前になりたかった。そのとき考えたのは、やさしい先輩についていくより、厳しく叱ってくれる先輩についていった方が、早く成長できるし、出世もできるのではないかということだった。
だから僕は、厳しい世界で仕事をすることを基本にしてきた。それが誰にとっても正解だとは思わない。ただ、少なくとも僕はそうやって、この業界でここまで来た。
夢を語る若い世代と、その先にあるもの
最近の若い世代と話すと、自分の夢ややりがいを語ってくれる人が多い。
人を笑顔にする仕事がしたい。自分が作ったものが世の中に出ている、というやりがいを持ちたい。地方創生の仕事に興味がある。
どれも、悪いことではまったくない。むしろ、まっすぐでいいと思う。
ただ、僕の実感を言わせてもらえるなら、そう胸を張って言えるようになるのは、一人前になるためにがむしゃらに走り続けた、その先だ。人を笑顔にするイベントの裏には、地味で、泥臭くて、思いどおりにいかない仕事が山のように積み重なっている。やりがいは、その山を越えたところで待っているものだと、僕は思っている。
備品準備だって、イベントを支えている
もうひとつ、別の道もあると思っている。
若手の頃に任される仕事は、会場探しや備品の準備のような、目立たないものが多い。それでも、ポジティブに捉えることはできる。僕がいるから、このイベントは成り立っているんだ、と。
実際、そのとおりなのだ。会場が決まらなければイベントは始まらないし、備品がひとつ欠けるだけで現場は止まる。どんな仕事も、全体の中で誰かが担わなければならない役割だ。
自分の仕事を自分で肯定できる人は、強い。たとえ地味な仕事だったとしても、そこに意味を見つけられる人は、きっと遠くまで行ける。
自分を肯定する小さな根拠については、少し前に美容室の待ち時間にも考えたことがある。仕事の話ではないけれど、根っこは同じだと思う。

美しい世界だとは、言わない
少し遠回りしたが、昨夜の会話を通して改めて思ったことがある。
僕たちは、この厳しい業界を美しい世界だと紹介するつもりはない。偽るつもりもない。
楽な仕事ではないこと、思いどおりにいかない日が多いこと。そういう現実をきちんと伝えたい。その上で、それでもこの会社に興味を持ってくれる人と出会いたいのだ。
厳しい世界を、厳しいまま伝える。それは突き放すことではなく、本気で一緒に働いてくれる人を探すための、僕たちなりの誠実さだと思っている。

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